2016年3月31日木曜日

組込み機器の制御にStandard Commands for Programmable Instruments(SCPI)を用いる事を考える

あらまし

組込み機器を設計すると、小さな規模の装置でも数十から数百を超える操作が簡単に生まれてしまいます。設計実装した機器が確かに意図したとおりに機能しているのかを確認しようと考えた場合、それら全ての操作に対して考え得る全ての組み合わせで実行しない限り、予期しない動作が生まれない保証はありません。特に機器側に何らかの状態を持つような設計が含まれる場合、人間が操作したのでは到底網羅出来ない数の組み合わせが存在する事になります。


さて、エンジニアとしては自分の設計と実装が期待通りの動作をしているのか確認してから枕を高くして眠りたいところですが、その操作インターフェースが独自コマンド体系になっていると色々な弊害が出てきます。例えば、「そもそも操作を自動化できるコマンド体系になっていない」、「独自の概念に基づく操作が並べられており第三者の理解が難しい」、「機器側の状態にコマンドの実行結果が依存しすぎる」など。ついつい作ってしまう独自コマンド体系によって自動化が困難な状況も自ら作り出してしまう事になります。おろろ・・・これでは枕を高くして眠れない・・・。

ということで、「何か代替案はないかなぁ」と調べ始めたのが今日のお話。

Standard Commands for Programmable Instruments(SCPI)

Standard Commands for Programmable Instruments(SCPI)とは、プログラマブルな計測器をコマンドで操作するために作られた規格です。独自の操作体系で作られた数多くの機器を制御するのが難しかった背景から策定されたもので
  1. 同種の二つの計測器が存在した場合、同一の制御方法を持つ(垂直互換性)
  2. 二つの測定器では計測手法が何であるのかに依らず同じ計測が可能である(水平互換性)
  3. 同じ機能を持つ二つの計測器では同じコマンドで操作できる(機能互換性)
という3つのコンセプトがベースになっています。


実際に規格に書かれたプログラマブル計測器のモデルを見ると計測器のみならず、様々な組込み機器でも再利用可能に思えてきました。上記のモデルで言うと、Measurement Functionは入力系統、メモリは文字通り、Signal Generationは出力系統です。要するに入力された信号がメモリに入り、計算されて出力されるというコンピュータシステムそのものなのです。

例えば、オーディオを処理するような装置を仮に作った場合、上記モデルで言うところの上段は入力(録音)系統、下段は出力(再生)系統になるわけです。実際、規格文書の例は車台ダイナモメータのモデルが示されたおり、ちょっとやってみたくなる素材としても面白い内容になっています。どのような装置であっても、広義の意味で測定器と言えるのでその応用の範囲は広そうです。


という事で、何か作ってみたくなる素材のお話しでした。

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